空と君とダイヤモンドと
「こっちで北海道大会あった頃だから6月かな…?」


「…知らなかった」



塁さんと別れたのなら、俺のところに来てくれると思っていた。
俺の自惚れでしかなかったんだろうか。



「瑛梨奈ちゃん、別れたんだね?ワカ」



椎名がニヤニヤして俺の顔を覗き込む。



「うっせーよ」


「スマホなってるよ。また加耶ちゃん」



俺にスマホを手渡してくる。



「加耶、何度言っても俺は行かねぇぞ」


『1度だけでいいの!前に降ろしてもらったとこにいてよ』


「はぁ。一度だけだぞ」


『やったー!』



なにがそんなに嬉しいんだか。



「じゃあ仕事終わる頃行くから」



俺もなにやってんだか。
好きなやつに振られても振られても諦めない気持ちはわかる。
そして何度でも言いたくなる気持ちも。

でも、俺はその戦いから怖くなって離脱してしまったんだ。

あの追いコンから1度だって瑛梨奈のLINEに返信ができていない。

塁さんの名前を聞きたくなくて。

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