空と君とダイヤモンドと
「おっせーな」



前に加耶を降ろしたあたりで車を停めてガードレールに腰をかけて待つ。

サングラスは常に。
どんな噂されるかわかんねぇから。
まだそんな有名じゃないけどな。俺は。



「お疲れ様でーす」



会社から出てきた人の声に反射的にドアを見る。


スマホを見ながら笑ってる姿。
俺が見間違えるわけがない、瑛梨奈だ。
そこにいるのは俺が忘れたくても頭いっぱいに残ってる瑛梨奈だ。



「…幻じゃねぇよな?」



無意識のうちにぼそっと呟いたその言葉に瑛梨奈がこちらを一瞬見るがサングラスしてる俺には気付かず、首を傾げて歩き出す。



「どうすりゃいんだ…」



プロになってからすっかり瑛梨奈に対する勇気がなくなってしまってる俺は足がすくんで動かない。

でも、このままでいいわけなんかない。



「瑛梨奈!!!」



気がついたら叫んでた。
遠くなっていく姿にいなくならないでほしくて。

気がついたら走り出してた。

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