空と君とダイヤモンドと
「でもなんで泣いてたの?」


「…うん。隣のビルとの間に連れたいかれてキス…されたの。その人ね、別れてからもずっと好きだって言ってくれてたの」


「うん」



あたしが話す言葉を有紗は頷きながら聞いてくれたから落ち着いて話すことができた。



「でも、就職してから全くLINE返してくれなくなって。そしたら他の友達とはちゃんと連絡とってたんだ」


「うん」


「だから、あたしのこともう好きじゃないのかってなって。彼氏と別れたこと言ってなかったらなんで言ってくれないの?って言われたんだ」



なんでって。
ワカが言えない雰囲気を作ったくせに。



「それで、逃げてきたってこと?」


「…ん。その場にもういれなくて」


「そっか。追いかけてきた?」


「来ようとはしてたけど、元彼が待ち合わせしてた女の子が会社から出てきちゃったから…」



あそこで加耶さんが出てこなかったらあたしはどうしてたのだろう。
正直、加耶さんが出てきてくれてほっとしてるかもしれない。

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