空と君とダイヤモンドと
「マネージャーやめてほしいの」


「はい?」


「いままで野球部は女のマネージャーなんて置かなかった!選手目当てなくせにうざいのよ!」



あたしを寮の壁に押し付ける。


「ちょ…」



あまりにも強い力でよけることができない。

てか、なんであたし女の人に壁ドンされてるの…ってそうじゃなくて。

ちゃんと説明しなくちゃ。

そう思ってるのに声が出ない。



「みんな抜け駆けしないでやってきてるの」



もう1人の人が後ろからあたしの頭を抑える。



痛い。痛い。
なのに力が強すぎて。
なんでこの人たちこんなに強いの。



「ことしは大輝も入って今までよりファンが増えてるの。あんたみたいのは迷惑でしかないの!野球部にとって!」



もう1人の人はワカのことを〝大輝〟と呼ぶんだ。
とかどうでもいいことを考えた。
そうすれば恐怖から逃れられる。



「…なに、してる?」



そおっと近づいてきた足音にほっとする。

< 61 / 533 >

この作品をシェア

pagetop