空と君とダイヤモンドと
「塁くんの話ってなんだったの?」


「あー…」



塁くんが上を見上げる。



「悪い話のほうだったんですか?」


「ん。ワカにしろよって言おうとしてた」


「クリスマスに誘ったうえでその言葉ってなかなか残酷だね。塁くん」



心の中はもうズタズタだ。
こんなことを言われてるのにまだ塁くんが好きなんだ。



「塁くんはあたしのこと好きじゃなかったんだね」


「あぁ。一度も好きにはなってない」


「あたしが変に期待してただけだから大丈夫」



じわじわと目に涙が溜まってくる。



「あれですよね。ここに住んでたのが彼女だったから会えなくて寂しいのを紛らわせてたんだよね?」


「そうなるかな」



寂しそうに笑う塁くんにチクリと胸が痛む。



「もうここに出てくるのはやめますね。塁くんがいる時間はここの窓あけないです」


「瑛梨奈ちゃん…」



気づいた時にはもう涙が落ちてきてた。

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