空と君とダイヤモンドと
「泣かないで」



塁くんの手があたしの頬に伸びてくる。



「触らないで!」



塁くんから顔を背ける。



「瑛梨奈ちゃん…」



傷ついた顔の塁くん。



「そんな顔しないで…あたしのほうがそんな顔したいよ…」


「ごめん」



塁くんはそれだけ言って部屋の中に入る。




「終わっちゃった」



塁くんの背中を見届けてあたしも部屋に入る。


好きだった。
本当に好きだった。
塁くんがだいすきだった。


初めてベランダで会ったとき。
毎日話すベランダでの話。
楽しくて、楽しくて。
疑ってなかったんだ、幸せになれる未来を。

なのにそんなもの存在してなくて。
塁くんの幸せな未来は別な方向を向いてて。
あたしのほうには1度だって向いてくれたことはなかった。



「なくなっちゃった…塁くんとの日常」



それが毎日の楽しみだったのに。

でも、これでいいんだよね。
涙がとまらないけど。

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