金木犀の季節に
放課後はバイオリンのレッスンだった。
今までに他にもいろいろな習い事をさせてもらったけれど、どれもすぐにやめてしまった。
しかし、バイオリンだけは四歳の頃から続けて、気がつけば今年で十一年目だ。
実際、小学校高学年になって一度はプロを志した。
しかし、コンクールで結果は出ないし、勉強が中心の中高一貫校に入ってしまったことを理由にして諦めた。
「もっと流れるように!
テクニックだけを考えないで心を込めて!」
先生にこのようなことを言われたのは今日だけで三回目。
当たり前だ。
コンクール一か月前のレッスンだというのに、不思議なくらい集中出来なかったのだから。
「弾きたいときに弾きたいだけ弾けばいい」
そんな先生のモットーにより、今日は家に早く帰された。