【完】蜂蜜色のヒーロー。
私のことなんて、放っておいたほうが、自分にも影響が出ないはずなのに……。
生真くんの言葉を信じて、しばらく待っていると、ブレザーとシャツとネクタイを片手に、彼が戻ってきた。
「俺のじゃ嫌かもしんねぇけど、風邪ひくし、着て」
「え……? や、でも……」
「代わりに、そのネクタイ貸して。濡れてていいから」
まだぬくもりの残る、制服3点セットを強引に渡された私の胸元に手をかけた彼は、しゅるりとネクタイをとった。
それをシャツに巻きつけながら、「ぶかぶかだけど、我慢して」とひと言残すと、さっさと行ってしまう。