【完】蜂蜜色のヒーロー。
04*記憶
トラウマ
長谷川知来(はせがわ ともき)は、私の中学生時代の同級生兼彼氏だったひとだ。
来る者拒まず、がモットーだった長谷川くんは、女子に告白されれば、誰とでも付き合うようなプレイボーイだった。
たとえどこであっても、女の子に「キスして」と頼まれたらしちゃうような、同情もひとの心もなにもない、最低な奴だった。
けれど、それでも女の敵にならないのは、街中でスカウトをされちゃうほどの美貌の持ち主だったからで。
飽きた、冷めた、乗り換える。
そんな言葉で彼女を振っても、「そう、わかった」で女の子たちも済んでいたような、軽い付き合いだったのだ。