【完】蜂蜜色のヒーロー。
今思えば、告白されること、そして自分から振ること専門だった長谷川くんは、こんな私に振られたことが、気に食わなかったんだと思う。
だからって、していいことと悪いこともあるけど。
お母さんは、長谷川くんと付き合い出したことを喜んでいたけど、別れたいと相談したときは、ちゃんと親身になってくれた。
だから余計、応援してくれていたからこそ、あいつが酷い奴だったなんて言えなかったし、……お父さんと喧嘩をした。
『なんでちゃんと、お母さんに本当のこと言わないんだ』
『……お父さんには、関係ないでしょ』
『お母さん、なにがあったのかって、心配して───』
『うるさい!! もうほっといてよ! 娘の気持ちなんてわからないくせに!』
バンッ、とクッションを投げつけて、初めてお父さんに怒った。
言いたいことはわかるけど、でもやっぱりやめてほしかった。今はすべてが重荷だってこと、どうしてわからないの?
『……出てって…!』
『……わかった』