【完】蜂蜜色のヒーロー。
御津くんの姿もないし。
とにかく、葵とお母さんに着いたよ、とひと言メッセージを送ろうと思って、スマホを取り出したところで、「おねーさん」と声をかけられた。
やけに甘えたその声はもちろん、御津くんではなく、派手な髪色をした3人の男のひとたちのもので。
「俺らね、合コンドタキャンされちゃってぇ。今、ちょー暇なんだぁ」
「おねーさん、誰待ってんの?」
「つか、俺たちより年下っぽいのに、おねーさんとか、ウケるんだけど!」
朝からお酒でも入っているのか、勝手におねーさん呼ばわりしておいて、ギャハハハッ、と豪快に笑った3人に、私は若干引いた。
なんか、ちょっとやばそう……?
「ごめんなさい、これから約束あるので、他当たってください」
「ええー? おねーさんつれないねえ。俺らといると、楽しーよ?」
「そーそー! いいじゃん、行こーよ」
やけに言葉を伸ばす彼らに、私はふるふると首を振って、やっぱりやばいと、今さら確信した。