【完】蜂蜜色のヒーロー。


約束があるって言ってるのに、なかなか引いてくれない彼らは、あっという間に四方八方から私を取り囲んだ。


正面にいる金髪の男が、上から下までじろじろと眺めやってくるから、背中に嫌な汗が滴った。



「こんな可愛い恰好して、よく言うよね。狙われるの間違えねぇのに」


「あ、あの、ほんとに私……」


「───ごめん、遅くなった」



嘘でもついて逃げようとしたところで、耳慣れたハスキーな声が聞こえてきて、はっと顔を上げた。


そこには、赤いシャツに黒い七分丈のジーンズを着こなした御津くんがいて。その顔はどこか、不機嫌に見えた。



「み、御津くん……!」


「はあ? 誰だ、お前。まさか、おねーさんの連れなわけ?」


「なよい体してて、よく出てきたよな」



もう一度、ギャハハハッ、と笑った3人を無視して、御津くんが私の手を掴んで歩き出そうとした。


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