【完】蜂蜜色のヒーロー。
御津くんは、私なんかにこだわってないで、もっと視野を広げて自分に合う女の子を見つけるべきなんだ。
きっと、私が隣に並んでも御津くんには釣り合わないだろうし、彼女として上手くやれる自信もない。
そんな私と一緒にいて、御津くんになんの得があるの?
私は情けないけど、なにもできないから……御津くんには、いろいろしてもらったけど、私は恩返しなんてしてあげられないよ。
「妃莉はさ、恋をするときって、なにかしてあげなきゃとか、得損とか、利益で考えてない?」
「え……?」
「あたしはね、生真と一緒にいてそれだけで幸せだよ。なにか特別なものをもらったわけじゃないし、かと言って路惟みたいに夜中に駆けつけてもらったわけでもない」
ふっと目を閉じた葵は、見たことがないくらい優しい顔をして、ぽつりぽつりと諭すように、教えてくれる。
───恋がなんなのか。