【完】蜂蜜色のヒーロー。
葵に叩かれたのが機嫌を損ねる原因になったらしく、ぶすっとした生真くんは、先ほどのようにフライングする気はないみたいだった。
葵はお昼休みに生真くんを呼び出して、前置きなしで直球勝負───つまり、『好きです』と告白したらしい。
そのときに、今は生真くんの腕にあるミサンガを渡したみたいで。ちなみに、御津くんの腕にもミサンガはある。
これは、御津くんの誕生日前日に葵とショッピングモールへ行ったときに、期間限定で開催されていた、手作りミサンガのブースで作ったものだった。
葵の作ったものは薄い水色一色をベースとして、そこに蛍光ピンクで【LOVE】と書かれていて。
私が御津くんにあげたものは、真っ白い刺繍糸をベースとして、そこに黒で【FIGHT】と縫った。
男子ふたりの左手首にそれが巻かれていて、生真くんが話を聞きながら、それに目をやった。