【完】蜂蜜色のヒーロー。
腕に力を込められて、ぼぼぼっと顔が赤く熱くなったのがわかった。
別に、ヤキモチを妬かせようとしたわけじゃなくて、ただ『女子の憧れだよね』っていうことを言いたかっただけなんだけどなぁ……。
「ごめんね、御津くん」
「……ほんとに俺のこと、好き?」
「え? な、なんで……?」
ニタニタと笑っている目の前のカップルを無視して話を進める御津くんに、私は戸惑うばかりだ。
「なんで生真は下の名前なのに、俺は苗字呼びなわけ? 彼氏は俺なんだけど」
「えっ、えっと……」
初めて逢ったときに、生真くんは下の名前しか名乗らなかったから、生真くんと呼ぶしかなくて。
それに対して、御津くんはフルネームを教えてくれたから、苗字で呼んでただけで……。
別に深い意味なんて、ない。
「……妃莉」
「は、はい……!」