【完】蜂蜜色のヒーロー。





「妃莉、久しぶり! 元気にしてた?」


「……っ」



今日は葵が生真くんと放課後デートの日で、路惟くんはバスケ部の助っ人に出るから、ひとりで帰ることになっていた。



校門まで来たところで、派手な金髪が目に入って、それが逢いたくなかった長谷川知来だとわかるのに、大して時間はかからなかった。



「な、んで……ここに、いるの…」


「やだなー、元カノの顔を見に来たに決まってるでしょー? ちょっと可愛くなったね」



すっと伸びてきた手を、思わず反射的に振り払った。


長谷川くんが、ここにいる。



「もう……逢いたくなかった。帰って」


「……あー、…うん」

< 170 / 224 >

この作品をシェア

pagetop