【完】蜂蜜色のヒーロー。


それでも、あんな悲しみをもう一度味わうことになったらと思うと、怖くて震えが止まらなくなる。


だったら、どうしたらいいの?



『お兄ちゃん、ちょっと電話代わって!』


『は? なんで柚葉(ゆずは)に代わらなきゃなんないわけ?』


『いーじゃん! 女の子の気持ちがわかるのは、女なんだし!』



一度逢ったことのある、妹の柚葉ちゃんと路惟くんが喧嘩をし出した声で、はっと我に返った私は、なにしてるんだろうと落ち込んだ。


きっと、中学3年生の柚葉ちゃんにまで心配をかけてるんだ、私。



『もしもし、妃莉ちゃん? 柚葉だけど!』


「あ……久しぶり」


『……妃莉ちゃん、やっぱり元気ないね』

< 182 / 224 >

この作品をシェア

pagetop