【完】蜂蜜色のヒーロー。
それでも、あんな悲しみをもう一度味わうことになったらと思うと、怖くて震えが止まらなくなる。
だったら、どうしたらいいの?
『お兄ちゃん、ちょっと電話代わって!』
『は? なんで柚葉(ゆずは)に代わらなきゃなんないわけ?』
『いーじゃん! 女の子の気持ちがわかるのは、女なんだし!』
一度逢ったことのある、妹の柚葉ちゃんと路惟くんが喧嘩をし出した声で、はっと我に返った私は、なにしてるんだろうと落ち込んだ。
きっと、中学3年生の柚葉ちゃんにまで心配をかけてるんだ、私。
『もしもし、妃莉ちゃん? 柚葉だけど!』
「あ……久しぶり」
『……妃莉ちゃん、やっぱり元気ないね』