【完】蜂蜜色のヒーロー。
長谷川くんのことを知らない柚葉ちゃんのために、中学生の頃の話をしてから、昨日あったことを話した。
どうしたら長谷川くんと今後一切、話さずに関わらずに生きていけるんだろう。
そんなことばかり考えていたけど、不思議と涙は出なかった。でも代わりに、柚葉ちゃんがぶわっと泣き出してしまった。
「うう……っ、妃莉ちゃーん…!」
「うわあ!」
「妃莉ー! あたしも入れてー!」
「そういう遊びじゃないよっ」
抱きついてきた柚葉ちゃんに、どさくさに紛れて私たちに飛びついた葵は、私を励まそうとしてくれているって、すぐわかった。
「……お兄ちゃんには、話さないの?」
「迷惑になっちゃうもん」
「路惟はそんなこと言わないと思うし、そもそも助けたいって思ってくれるよ、きっと」
「……うん」