【完】蜂蜜色のヒーロー。
もらった連絡先はまだ、机の中に入っていた。長谷川くんの切なそうな目を思い出すと、棄てられなかった。
……連絡しよう。
それで、早いうちに解決して、路惟くんにごめんね、って謝ろう。ちゃんと過去に区切りをつけて、なにがあったのか教えよう。
ごめんね、じゃ許されないかもしれないけど、それでも路惟くんのもとへ行こう。
「あの、妃莉ちゃん。少しだけ柚葉の話聞いてくれない?」
「……うん? どうしたの?」
「あのね、お兄ちゃん、妃莉ちゃんのこと大好きなんだよ。いつも無表情だったお兄ちゃんが、柚葉のくだらない話にも、笑ってくれるようになったんだよ」
ぽつりぽつりと嬉しそうに話してくれる柚葉ちゃんは、本当に路惟くんのことが大好きなんだなって、伝わってくる。