【完】蜂蜜色のヒーロー。


ゆるりゆるりと、彼にしては珍しく、弱々しい声で、そうっと呟く。



「俺は、なにをされてもどんなことを言われても、妃莉のことが好き。それだけはいつも、忘れないでほしい」


「……っ」


「え? あ、ごめん」



返事したいー! と路惟くんの背中を叩くと、ようやくこの姿勢を戻してくれた。手を離そうとしたけど、それを押さえられた。


抱きしめ返せ、ということらしい。



「あの、……ごめんね。でも私、路惟くんのことが大好きでね、でも迷惑をかけたくなくて、言えなかったの。


それにこれは、私の過去がかかってるから……怖くて言えなくて」



私の言葉を黙って聞いている路惟くんの腕に、ぎゅうっと力がこもって、少しだけ苦しくなった。


……あ、これは寂しがってる証拠のふたつめだ。



「路惟くんのこと、ちゃんと好きだし、大好きだよ。ごめんね」


「……あのさー、妃莉はバカなの?」


「え!?」

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