【完】蜂蜜色のヒーロー。


あえて長谷川くんのことに触れないのは、気にしてないよということ……と捉えていいんだよね?


路惟くんって、ときどき言葉が足りないから難しい……。




「……妃莉!」


「わ、なに? 突然大きい声出して」



カシャン、と音を立てて立ち上がった路惟くんは、そのまま私の前に来て、上からぎゅーっと抱きしめた。


……ん?



「路惟くん? 突然どしたの」


「好きだなぁと思って」


「……!」



路惟くんがこんな風に思い立ったようにそんなことを言うなんて初めてだから、慣れなくてドキドキしてる。


路惟くん、それ心臓に悪いです。



「妃莉のことが世界一好き。大好き」


「ふふ、ありがとう。柚葉ちゃんは、路惟くんが私のこと、“愛してる”って言ってた」


「……うん、愛してるよ」


「え、あ……言ってほしくて言ったわけじゃないよ!? 思い出しただけで、それで」


「……ぶっ」

< 198 / 224 >

この作品をシェア

pagetop