【完】蜂蜜色のヒーロー。
ぜーはーと息をする私を見て、路惟くんはくつくつと笑う。
「可愛いから。あんまり、はしゃぐとこ見れねーし」
「あはは、言われてみれば確かに」
「お、機嫌直った?」
「……あ」
そうだった、忘れてた…!
私今、怒ってるんだった!
「脚速いって言わなかったから、直らないー」
「ええー。それずるい」
再び明後日の方を見て、機嫌を悪くする私の顎を親指と人差し指ですくった路惟くんは、自分と向き合うように誘導した。
……そのまま、世にいう顎クイの形になって、気づけば、唇に柔らかいものが重なっていた。
「ん……」
角度を変えて、何度も何度もされるキスに、私はめまいを覚えそうで。
あれ、私……ファーストキスあっさり奪われた。
「……っ」