【完】蜂蜜色のヒーロー。
中学生のとき、どうしてあんな風に私を傷つけたのか、不思議に思っていることを聞こう。
それで、もうすっきりとした気持ちで長谷川くんを心から許して、前向きに路惟くんと付き合っていこう。
そうしないと、これからずっとトラウマに囚われたまま、怖がったまま、路惟くんと付き合っていくことになる。
そんなの嫌だから。
「……あの、路惟くんごめんね」
「なにが」
「嫌だったよね、ひとの元カレに逢うなんて」
「……べつに」
ふいっと私から顔を逸らした路惟くんは、絶対“べつに”とは思ってない。怒らせた……かな?
長谷川くんと逢って話がしたい、って言ったときは、『危ないから俺もついていく。それならいいよ』って笑ってくれたのに。
当日になったら、朝から今の今まで怒っていて、なにを言っても許してくれないし、ずっとこんな感じ。
いいよ、って言ったくせに、って私も今になってふんっとそっぽを向いた。
「だったら……ついてこなきゃいいのに」
「……!」