【完】蜂蜜色のヒーロー。


知来だっているのに、抱きついて大好きって言うなんて……恥ずかしい…!


知来はくりくりとした瞳で私を見つめて、それから「ぶは…!」と吐き出した。



「御津はほんとに妃莉が好きなんだな。名前だけ妬いてるし」


「えっ……そうなの?」


「俺のことは、敬称つけてるくせに、長谷川のことは呼び捨てなんて、マジありえねえ」



路惟くんはぶすっと不機嫌にそう言うと、軽く舌打ちをして私の首元に顔を埋めた。


知来はそれに見入っていたけど、やがてカフェの壁時計を見て、「あ……やべ!」と突然立ち上がった。



「マジごめん! 今日は弟の誕生日だから、もう帰んねーと」


「あ、そうなの? おめでとうって伝えておいてね」


「ありがとう、金はまた今度払うわ。今日は任せていい?」


「いいよ、早く行ってあげて」

< 213 / 224 >

この作品をシェア

pagetop