【完】蜂蜜色のヒーロー。
知来だっているのに、抱きついて大好きって言うなんて……恥ずかしい…!
知来はくりくりとした瞳で私を見つめて、それから「ぶは…!」と吐き出した。
「御津はほんとに妃莉が好きなんだな。名前だけ妬いてるし」
「えっ……そうなの?」
「俺のことは、敬称つけてるくせに、長谷川のことは呼び捨てなんて、マジありえねえ」
路惟くんはぶすっと不機嫌にそう言うと、軽く舌打ちをして私の首元に顔を埋めた。
知来はそれに見入っていたけど、やがてカフェの壁時計を見て、「あ……やべ!」と突然立ち上がった。
「マジごめん! 今日は弟の誕生日だから、もう帰んねーと」
「あ、そうなの? おめでとうって伝えておいてね」
「ありがとう、金はまた今度払うわ。今日は任せていい?」
「いいよ、早く行ってあげて」