【完】蜂蜜色のヒーロー。
「新生活、楽しみだね」
「5月の体育祭、早くやりたいなあ」
「葵はそればっかり言ってるね」
ふたりで教室に向かいながら、なにが楽しみだ、と言い合っていると、後ろのほうで男の子たちが、ギャハハと笑った。
そっちに目を向けると、そこには、蓋の開いた炭酸ジュース片手にふざける1年生たちがいて。
「わ、お前押すなよ!」
「うわっ、ちょ……!」
数人の焦った声が聞こえたかと思えば、ペットボトルから盛大に中身が、ばしゃりと飛び散り。
私は正面から、べたべたしたそれをかけられて、男の子たちはしーんと静かになり、やがて青ざめていく。