【完】蜂蜜色のヒーロー。


目の前でカフェで買った、お持ち帰り用のコーヒーを喉へ通している御津くんは、少し呆れたように息をついた。



お弁当を作るときに使うものは全部買わせちゃった上に、……クレープまで奢ってもらって。


私がここへ来たいと言ったのに、私は1銭も出してないなんて、嫌われても無理はない。



「俺がやりたくてやったし。バイトしてるからいいよ」


「えっ、バイトしてるの?」


「うん」



こくりと頷いた御津くんに、へえ……と感慨深く感心してしまう。


私は、勉強やプライベートと両立できないから、バイトはしてない。今までどおり、親からお小遣いをもらってる。



だから、余計偉いと思う。

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