【完】蜂蜜色のヒーロー。
うん、と返されるから会話も弾まず、かと言ってそれが気まずいわけでもなく、居心地のよさに、甘えていた。
だけど本当は、無理と言われて、平気なひとなんて、どこにもいなかったんだ、って。
……今さら気づいた。
傷ついたのも、傷つけられたのも、本当は私じゃなくて───御津くんのほうだったんだよ。
必死に平装を装っててくれてたんだね、御津くん……。
『あ、今日はもうバイバイでいい? お姉ちゃんと買い物行くんだ~』
「うん、引き留めてごめんね。真希波(まきな)さんによろしくね」
『はあい。今度、一緒に行こうね! 恋愛に現(うつつ)抜かしてばっかじゃだめだからね!』
「わかってる、またね!」