【完】蜂蜜色のヒーロー。
「ジャージも、持ってきてないもんね」
「そうだね……どうしよう」
替えの服だって持ってないし、さすがに葵にシャツ貸してとも言えない私が、頭を抱えていると、突然骨張った手が、私の腕を握った。
それは、細くて白い葵の手ではなく、蜂蜜色の髪をした、男の子のものだった。
ネクタイの色からするに、私と同じ1年生みたいだけど……いきなりなに?
「……濡れてる」
「え? ……ああ、うん。さっき、炭酸かぶっちゃって」
「……うん」