【完】蜂蜜色のヒーロー。
手を引かれて、気がつけば私は、御津くんの胸の中に収まっていた。
「誰に言われたんだか知らねぇけど、俺の高校生活は、妃莉がいれば楽しいよ」
「でも……御津くんが思ってるほど、いいひとじゃないよ、私」
「いいよ、そんなこと。妃莉が好きだから、どんな妃莉でも」
まるで、“離さない”とでも言うように込められた腕の力のせいで、さらにドキドキと高鳴る胸。
御津くんの案外分厚い胸板に、頭がとんとくっついたけど。
まったく、ドキドキしてないし、言わば平常運転ってやつ。