【完】蜂蜜色のヒーロー。
「俺はただの人間で、本みたいにカッコよく登場することさえ、できねえ。だけど、妃莉が元気ないことくらい、見りゃわかるよ」
これは言葉なのに、どこかしっくり来る要素があって、心がじんわりとあたたかくなっていく。
「妃莉が泣きたいときは、俺のところへ来ればいい。元気がないのは、心配」
「……御津くんに、迷惑かけたくない」
「勝手にひとりで落ち込んでるほうが迷惑なんだけど」
御津くんだからこそ、そんな冷たい言葉て突き放す。ただ優しいだけじゃない。
御津くんは、誰がどうであっても、変わらず御津くんでしかない。当たり前なんだけど、なぜかひとは、それができない。