【完】蜂蜜色のヒーロー。
柔軟剤のような、人工的な匂いでもなく、かと言って香水のような甘ったるい匂いでもなく。
優しくて、ほっと安堵の息が漏れるような匂いは、言われてみれば、パン屋さんの匂いによく似てる気がした。
「いつも俺の匂い嗅いでんの」
「えっ!? そうじゃないよっ、感じるなってだけ!」
「嘘、冗談。からかっただけ」
むっと眉間にしわを寄せた私を横目に、御津くんは自分の鼻に腕を寄せて、くんくんと鼻をきかせた。
たぶん、わかんないと思うけどな……。