冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
伯爵家とはいえ、名ばかりの貧乏貴族で、所有地などなく住んでいる家さえ抵当に入っている有様。
そんななかひと月ほど前に、病気で父を亡くしてまう。ひとり娘で、母はすでに亡い。
悲しみにくれる間もなく、金を貸していたと主張する親族たちに、少しでも価値がありそうなものは絵画であれ、食器であれ、古書であれ、むしるように奪われていった。
そして後見と称して彼らが決めたのが、フロイラの結婚だった。
「爵位を望んでいる、お金持ちの中流階級の方という話でした」
この国は、女性でも爵位の保持を認めている。爵位を有する女性と結婚すれば、自分が貴族になれるのだ。
借金を肩代わりしてくれて、おまけに金持ちと結婚して何不自由ない暮らしができるのだから、と親族たちは喪もあけないうちから、結婚の承諾書にサインを迫った。
そんななかひと月ほど前に、病気で父を亡くしてまう。ひとり娘で、母はすでに亡い。
悲しみにくれる間もなく、金を貸していたと主張する親族たちに、少しでも価値がありそうなものは絵画であれ、食器であれ、古書であれ、むしるように奪われていった。
そして後見と称して彼らが決めたのが、フロイラの結婚だった。
「爵位を望んでいる、お金持ちの中流階級の方という話でした」
この国は、女性でも爵位の保持を認めている。爵位を有する女性と結婚すれば、自分が貴族になれるのだ。
借金を肩代わりしてくれて、おまけに金持ちと結婚して何不自由ない暮らしができるのだから、と親族たちは喪もあけないうちから、結婚の承諾書にサインを迫った。