冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
羽を切り落とされてしまわないように、せいぜいおとなしくご主人様の機嫌をとってさえずっていようか・・・
お姉さま・・・ルーシャはいま、どこに・・・あるいは彼女も似たような境遇に置かれているのか・・・

だるい体をベッドに横たえて、途切れ途切れに浮かぶ、今の自分のこと、ルーシャのこと、クラウスのこと。
だいぶ心が弱っている自覚はあった。

窓の外を飛ぶ鳥を見て、自由でいいわねと感傷にひたってしまうくらいだ。


コンコン、とドアがノックされ、フロイラ様と入ってきたのはアンナ・マリーだ。

「なかなか熱が下がりませんね。旦那様も心配されているようですよ」

早く起き上がって、お茶を出して、彼にかしずいて、務めを果たさなければ・・・思うものの体が動かない。

「・・・あなたにまで心配をかけて、ごめんなさい」
ぼそぼそとつぶやく。

「早く良くなって下さいませ。フロイラ様がいないと、邸の中が死んだようなんです」

わたしがいないと・・・?
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