冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
「雰囲気が重苦しくて、まるで以前に逆戻りしてしまったよう」
アンナ・マリーが澄んだ紅茶のような明るい色の瞳をしばたかせながら言う。
「クラウス様が使用人に八つ当たりすることがないといいのだけど・・」
「あら、それはありませんわ」
アンナ・マリーはすかさず否定する。
「厳しいお方ですけど、旦那様はわたしどもを公正に扱って下さいます。体調が悪いときは休ませて下さいますし、休暇もいただいています」
使用人と愛玩動物(ペット)とどちらが上かと考えるのは、虚しくてやめた。
フロイラ様、とアンナ・マリーが話題を変える。
「そういえば、わたしが子どもの頃、熱を出すと母がカミツレを煎じて蜂蜜をたらしたものを飲ませてくれたんです。
あれを飲むと、不思議と体が楽になった気がして、たいてい次の日には熱が下がったんです」
まぁ、素敵ね。思わず顔がほころぶ。
いま自分は笑った、と気づいた。
アンナ・マリーが澄んだ紅茶のような明るい色の瞳をしばたかせながら言う。
「クラウス様が使用人に八つ当たりすることがないといいのだけど・・」
「あら、それはありませんわ」
アンナ・マリーはすかさず否定する。
「厳しいお方ですけど、旦那様はわたしどもを公正に扱って下さいます。体調が悪いときは休ませて下さいますし、休暇もいただいています」
使用人と愛玩動物(ペット)とどちらが上かと考えるのは、虚しくてやめた。
フロイラ様、とアンナ・マリーが話題を変える。
「そういえば、わたしが子どもの頃、熱を出すと母がカミツレを煎じて蜂蜜をたらしたものを飲ませてくれたんです。
あれを飲むと、不思議と体が楽になった気がして、たいてい次の日には熱が下がったんです」
まぁ、素敵ね。思わず顔がほころぶ。
いま自分は笑った、と気づいた。