冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
第2章/仔羊の見る夢
*    *    *


ゴト・・ゴトゴト、

単調な車輪の回転音がつづく。スプリングが良いのか、身体に伝わる振動は穏やかなものだった。
ビロード張りのクッションの座り心地も、素晴らしかった。

こんな豪奢な馬車に乗るのは、生まれて初めてだった。それもたった一人で。

これからどうなるのかしらーーー

フロイラは窓のカーテンをめくり、不安に満ちたまなざしを外に向ける。
しだいに視界に迫ってくる、ヴィンターハルター侯爵家の邸を見つめた。

湖から助けあげられてから一週間ほど、フロイラはなかば強引に邸に留め置かれた。
わけもわからないまま、用意されたゲストルームで客人のように日を送った。

ようやく自分の家に帰されることになったと思ったら、帯同者がついていた。
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