冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
そうだろうな、とあっさりクラウスはうなずいた。

「その通り、真実などどうでもいい。問題は世間がどう見るかーーーそういうことだ、小公爵殿」
含みをもたせた言い回しだ。

「どういう・・・」
リアネルもクラウスの言葉の意図をつかみかねている。

「バハラ商会という名を聞いたことは?
まぁ、高貴な立場のお方は手に取られることもないだろう、大衆向けのゴシップ紙を発行している会社だ」

それがなにかと言いたげに、リアネルが眉を寄せる。


「先ほど街に所用があったと言っただろう。ちょっと前からこの会社の株を何割か買い取っていてな。
記事にも口出しできる立場になっている。ゴシップ紙の一番のネタは、上流階級のスキャンダルだ。記者たちは探偵顔向けに有能で、おまけに今回はスポンサー付き。
かのバートフィールド公爵家のご嫡男の、高尚すぎて常人には理解しがたい行状の数々があがってきてますよ。
高級売春クラブや乱行パーティーに頻繁に出入りされているご様子、裏ルートでの麻薬や催淫剤の購入録・・・」
< 176 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop