冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
「ちょっと行ってもどってくるだけよ」
結局ルーシャに押し切られて、ふたりは生垣のトンネルを抜けて、外へ足を踏み出した。
そこは牧場になっていて、緩やかな丘陵をこえたところに太い川が流れて、それは蛇行しながら林の中へとつづいていた。
牧場の人たちに見つかりたくないと、ルーシャはフロイラの手をとって川に沿って林の中へ入っていった。
水と草のにおいが濃くなった。
「もっとくだってゆくと、淵になってるところがあるの。泳いだり、魚を釣ったりできたら楽しいでしょうね」
そんなことをルーシャは教えてくれた。
緑の葉を透かして、光がこぼれてくる。そよ風に、葉がさやさやと鳴った。
途中に橋のかかっているところがあって、橋の真ん中で流れをながめた。
上流側の欄干からふたりで小枝を投げこんで、どちらが早く下流側に流れてくるか競って遊んだ。
そこからさらに手をつないで林の奥に進んだところで、不意にルーシャが足を止めた。
いけない、と口の中でつぶやく。
「どうしたのお姉さま」
「しいっ、大きな声を出さないで」
結局ルーシャに押し切られて、ふたりは生垣のトンネルを抜けて、外へ足を踏み出した。
そこは牧場になっていて、緩やかな丘陵をこえたところに太い川が流れて、それは蛇行しながら林の中へとつづいていた。
牧場の人たちに見つかりたくないと、ルーシャはフロイラの手をとって川に沿って林の中へ入っていった。
水と草のにおいが濃くなった。
「もっとくだってゆくと、淵になってるところがあるの。泳いだり、魚を釣ったりできたら楽しいでしょうね」
そんなことをルーシャは教えてくれた。
緑の葉を透かして、光がこぼれてくる。そよ風に、葉がさやさやと鳴った。
途中に橋のかかっているところがあって、橋の真ん中で流れをながめた。
上流側の欄干からふたりで小枝を投げこんで、どちらが早く下流側に流れてくるか競って遊んだ。
そこからさらに手をつないで林の奥に進んだところで、不意にルーシャが足を止めた。
いけない、と口の中でつぶやく。
「どうしたのお姉さま」
「しいっ、大きな声を出さないで」