冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~


クラウス様、と書斎にいる主にリュカが声をかける。
「フロイラ様が目を覚まされたようですよ」

そうか、とうなずく。

「クラウス様のお名を呼んでいるそうですが」

俺は忙しい、手にした本に目を戻してぶっきらぼうに返す。
「会いたいなら、そっちが来いと言ってやれ」

「私の見るところ、さきほどから一向にページが進んでいないようですが」

「・・・・・」

「素直になられてはいかがですか」

しょうがないなとクラウスが腰を上げる。

「主人を呼びつけるとは、生意気なやつだ」

言葉に反して足どりは軽い、とリュカは見て取るが、もちろんそれ以上口に出すことはない。
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