冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~


「旦那様、申し訳ありません、フロイラ様のお姿が見当たらず・・・」

メイドのアンナ・マリーが頬を紅潮させ息を切らしながら、口早に報告する。

「裏のお庭も探したのですが、そちらにもいらっしゃらないのです」

しょうがないやつだな、クラウスはかるく舌打ちする。

チェスでも教えてやろうと思っていたのに、どこをふらふらしているのか。

メイドを去らせ、チェス盤の駒を何手か動かす。

「・・・・・」

クラウスは椅子から腰を上げた。

なぜだか嫌な予感がする。
< 196 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop