冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
それでもしだいに疑問が、胸のうちに芽生えふくらんでくる。
たまに、ごくたまにだけど、男の子という存在を目にすることがあった。
使用人の子どもだったり、親戚の子であったりだ。
まれに人のいる場に出るときは、なるべく他の子とは接さず口も利かないように言い聞かせられていた。
それもこれも、体が弱いので病気になってしまうからである。
ぽつねんと腰かけて、周りの子どもたちを眺める。
ああしてズボンを履いて元気に駆け回れる男の子がいるのに、なぜ自分は女の子の格好をして、女の子として振る舞わなければならないのだろう。
自分の髪は赤と黒の入り混じった色なのに、隠すようにプラチナブロンドのかつらを被せられ、ピンで止められて。
体が弱い、って本当だろうか。べつに病気などしたことはないし、なによりもドレスにまとわりつかれるこの体は、こんなにも駆け出したくてウズウズしているのに・・・
外に出たい、重たいドレスを脱ぎ捨て動き回りたいと口にするたび、母は悲しげに、ときにヒステリックにルーシャを止めた。
「おとなしくしてらっしゃい、そうでないと・・・」
たまに、ごくたまにだけど、男の子という存在を目にすることがあった。
使用人の子どもだったり、親戚の子であったりだ。
まれに人のいる場に出るときは、なるべく他の子とは接さず口も利かないように言い聞かせられていた。
それもこれも、体が弱いので病気になってしまうからである。
ぽつねんと腰かけて、周りの子どもたちを眺める。
ああしてズボンを履いて元気に駆け回れる男の子がいるのに、なぜ自分は女の子の格好をして、女の子として振る舞わなければならないのだろう。
自分の髪は赤と黒の入り混じった色なのに、隠すようにプラチナブロンドのかつらを被せられ、ピンで止められて。
体が弱い、って本当だろうか。べつに病気などしたことはないし、なによりもドレスにまとわりつかれるこの体は、こんなにも駆け出したくてウズウズしているのに・・・
外に出たい、重たいドレスを脱ぎ捨て動き回りたいと口にするたび、母は悲しげに、ときにヒステリックにルーシャを止めた。
「おとなしくしてらっしゃい、そうでないと・・・」