冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
一夜明ければ、クラウスはいつもの彼だった。

お茶を出すとき、つい彼の横顔を見つめてしまったけれど。

「なんだ、俺の顔になにか付いてるのか」

「い、いえ」
慌てて目をそらし、お茶を注ぐ。
お綺麗だと思いまして、なんてとても口にできない。

ふん、と茶を一口すする。
「前よりはマシだ」

「ありがとうございます」

いつもの彼だ。ほっとするような、寂しいような。
それにしても、いつになったらリュカ・クリストフに追いつけることやら。
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