お見合い相手は冷血上司!?


 空が暴れているような雷鳴と、叩きつけるような雨音の中、配られた懐中電灯とペンライトの光だけが私たちを照らす。

 椅子は一つ、課長はベッドに腰掛けたので、私は椅子に腰を落とした。
 凍りつくような沈黙が重苦しいのに、その緊張感が心地良いような気さえする、不思議な気分だ。

 一緒にいて欲しいなんて、彼にだけは言ってはいけないと分かっていたのに。
 不甲斐なくて項垂れると、そんな私を追い打つように落ちた稲妻に、また背筋は伸びた。

「雷、どうして苦手になったんだ?」

 窓を見つめる彼の横顔を、閃光が白く照らす。

「……昔、弟と映画を見ていて、人に雷が落ちるシーンがあったんですけど、それがトラウマになってしまって。子供の頃に怖いと思ったものって、大人になってもう大丈夫だと分かっても、なぜだか怖いままなんですよね……」

 気恥ずかしくなってきて、膝に置いた手に視線を落とした。

「その感覚は、分かる」

 顔を上げると、彼は睫毛を伏せ、天を仰いでいる。
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