お見合い相手は冷血上司！？
「おはようございます」

　オフィスに入ると、課長は既にデスクで大量の書類と向き合っていた。
　眉間に浮かぶ深いシワは、今日も健在のよう。

「どうしたの、鈴原さん。ぼーっと眺めちゃって」

「わっ！　おはようございます。木津主任……」

　突然背後から現れた木津主任に、驚いて飛び上がった。
　マグカップを片手に課長を見つめる彼は、私に視線を戻すと、ニッコリと微笑む。

「珍しいね。鈴原さんが黒瀬くんを見てるなんて」

　アチチ、とコーヒーを啜る彼は、意味深に微笑むと自分のデスクへと戻っていった。
　木津主任は、たまに心臓に悪い。
　しかし、彼も私が課長を苦手だと思っていたことを知っていたのだということに驚いた。
　完全に鈍いわけじゃないのね……。

「おい鈴原。いつまで突っ立ってボケッとしてるつもりだ」

「は、はい！　すみません……」

　課長から飛んできた冷ややかな言葉に、慌てて椅子に腰掛けた。
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