お見合い相手は冷血上司!?
「そ、想像が出来なさすぎて吐き気がしてきた」

 その気持ちは、十分すぎるぐらい分かる。
 私も課長がお見合いの席に現れた時は、泡を吹いて倒れるかと思ったのだから。

「断れない強敵って、課長か。納得。それにしても仕事にしか興味ないって顔してたあのブリザードが、まさか密にオフィスラブをしてたなんて。驚きすぎて、寿命が少し縮まった気分よ」

 自身の身体を抱き締めている彼女は、唇を噛み締め、好奇心の塊のような表情を浮かべていた。
 これから尋問のように根掘り葉掘り聞かれるのだろうと思うと、思わず苦い笑みが漏れる。

「亜子はどうなの? 前は、悪い人ではないって言ってたけど。その後変化はあったの?」

 今までの出来事を思い返し、緩やかに上る頬の熱に眉を下げた。

「……少し、は」

 私の返答を聞いた彼女は、耐えきれず「あぁ」と法悦の笑みを浮かべ身悶えている。
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