お見合い相手は冷血上司!?
「この前も二人で出張に行ったばかりよね? いいわよねーオフィスラブ。私経験ないのよね。課長も、見た目は言うことないし」

「まだ、好きになったわけじゃないの。優しくて、とてもいい人だし、きっと課長を好きになれば幸せになれると思うんだけど……」

 言葉は尻すぼみになり、私は膝を見つめた。

 何度もその優しさに寄りかかりながら、最後の一歩を踏み出せないなんて。

「……別に、いいんじゃない? だって、課長はそこら辺の男よりきっとずっと大人だもの。あんたの過去も全部分かった上で、そばにいてくれるんでしょ? 簡単に結婚出来る女性がいいなら、あんたを選んだりしないわよ。
 前にも言ったけど、いい機会じゃない。リハビリすればいいのよ。課長で」

 両方の口角を綺麗に上げた彼女は、綺麗に切り分けたガレットを口に入れると、満足気に唸り声を上げた。
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