お見合い相手は冷血上司!?
「課長、起きられそうですか? おかゆ――あっ……」

 そっと覗き込むと、彼は枕を抱えて眠っている。その意外にもあどけない寝顔に、思わず顔が綻んだ。

 眉間のシワも解けて、寝顔は子供みたい。

「課長、課長……」

 近くにあったサイドテーブルにおかゆの乗ったトレーを置いて、遠慮がちにその肩を揺らす。
 「ん」と顔を歪めて動く課長は、薄らと目を開けた。

「起こしてすみません。お薬は飲んだ方がいいかと思っておかゆを作ったんですけど、食べられそうですか?」

 ゆっくりと起き上がった彼は、寝ぼけ眼でこちらを見つめる。一瞬小首を傾げた彼は、すぐに状況を理解したのか、気恥ずかしそうに頭をかいた。

「…………食べる」

 コクリと頷く彼。
 普段の彼からは想像も出来ない姿に、言いようのない愛おしさが込み上げた。思わず笑みを零すと、彼はお粥の器を受け取りながら不機嫌そうに顔を顰める。
 しかしその表情すら、今はむくれた子供のようだ。
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