お見合い相手は冷血上司!?
「おい、笑うな」

「すみません」

 未だ笑みを浮かべる私を睨む彼は、ふっと鼻で息をつくと、おかゆに視線を落とす。
 安堵したように緩む眼差しを見て、私もほっと胸を撫で下ろした。

「食べ終わったら、一度熱を測りましょう」

「……あぁ」

 レンゲですくったおかゆを口元で止めた彼は、何度も息を吹きかけてそれを冷ましていく。
 一口食べると、その熱さに顔を歪めながらも、次、また次、と見ていて気持ちの良いスピードで食べ進めていった。

 食欲が戻ってよかった。これなら回復も早そうだ。

「消化に悪いので、ゆっくり食べてくださいね」

 素直に頷いたと思った課長だったけれど、結局あっという間におかゆの器は空っぽになった。
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