お見合い相手は冷血上司!?
「……三十八度九分。やっぱり、結構ありますね」

 薬も飲んだ彼は、体温計を見つめ眉間にシワを寄せている。額に冷却シートを貼ろうとしたのだが、さすがに「自分でやる」と嫌がられてしまった。
 用意しておいた氷枕も敷いたし、とりあえずはこれで安心かな?

「何か欲しいものとかありますか? フルーツとか、食べたいものでも」

 片付けをしながらベッドの上で上半身だけを起こしている課長に視線を流すと、彼は「あ」と短い声を上げた。

「何かありました?」

 傍らに駆け寄ると、彼はニヤリと片方の口角だけを吊り上げ妖艶な笑みを浮かべる。
 嫌な予感がして体をのけ反らせるけれど、時は既に遅し、突如手首を引かれた私は、ベッドへとダイブした。

「い、痛っ……ちょっと、いきなり何するんですか!」

 勢い良く顔を上げると、その景色に絶句する。
 私は彼の上を跨ぐように乗っかっていて、すぐ目の前には課長の顔があった。
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