お見合い相手は冷血上司!?
 彼の瞳は熱のせいか潤んでいて、妙な色気を放っている。
 めいいっぱい首を伸ばして離れようとするけれど、彼の腕が腰に巻き付いていて離れてはくれない。

「……欲しいもの、抱き枕」

 ポツリと呟く彼は、私の頭を掴み自身の胸元へと抱き寄せた。

「わ、私を抱き枕にする気なんですか!?」

 渾身の力で暴れてみるけれど、いくら病人といえども、私が課長の力に敵うはずもない。
 いつもより熱い体温と、香りに、目の前がクラクラする。
 まるで彼の熱が、私にまで移ってしまったようだ。

「は、離してください!」

「嫌だ。――黙って抱かれていろ」

 鼓膜にじんわりと響く掠れた声に、胸の鼓動が一際大きく鳴った。
 私をベッドに降ろすと、彼は優しく私を抱き締めながら目を閉じる。

 会社では、移さまいとあんなに出て行けって言ってたくせに……。
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