お見合い相手は冷血上司!?
 しかしよく聞くと、声は課長のものだけではなかった。
 ……この声、男の人?

「おい待て! いい加減にしろ!」

「風邪のくせに女を連れ込むなんて、お前も変わったな。まさかお前の家でパンプスが並んでるのを見る日が来るなんてな」

 二つの声は地を蹴るような足音と共に凄いスピードでこちらに近付いていて、私は狼狽えながら、扉と反対側の壁まで後ずさった。

 破るように開けられた扉の向こう側に立っていたのは、

「初めまして、亜子さん」

 髪型が違う……課長?

「おい、いい加減にしろ。今すぐ帰れ。そして持っていた鍵を置いていけ!」

 その後ろから、口調に怒気が混じる課長が現れた。
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